第2章

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・・・翌朝。 朝食を済ませて、幼稚園の支度をしている昂を待っていると・・・ ふと昨夜、佐伯が帰り際に言っていた言葉を思い出した。 『オマエも、少しは七瀬さんに気を遣え。』 まぁ、顔を合わせれば気を遣う事も出来るが、しばらくの間はスケジュールが詰まっていて彼女に会う事も出来ないだろう。 だからと言って、すでにココで仕事をこなしてくれている彼女に、依頼者として挨拶の一つもないのはどうか?と思う。 ・・・ふーむ。 何かいい方法はないか? 頭の中でいろいろと考えを巡らせながらリビングへ入ると、電話の横に置いてあるメモ帳が目に入った。 (・・・そうだ! 手紙を残しておこう。) オレはメモ帳の紙をペリっと一枚剥すと、失礼のないよう丁寧に手紙を書き始めた。 『大変だとは思いますが、これからよろしくお願いいたします。何か足りない物がありましたら、その都度、佐伯にお伝えください。出来る限り、対応させていただきます。それでは、くれぐれもご無理のないように・・・   城崎 』 とりあえず、面倒な事は佐伯に任せておけばいい・・・ 「コレで、よし!と。」 ふと時計を見ると、もう家を出なければいけない時間になっていた。 (マズい・・・幼稚園に遅れてしまう。) オレは、ダイニングテーブルに置いてある灰皿の下にメモを挟むと、昂を迎えに急いで彼の部屋へ向かった。
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