第2章

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***** いつものように昂を幼稚園へ送った後、会社に向かう。 通勤ラッシュが過ぎた後の幹線道路は所々渋滞していたものの、比較的車の通りが良かったため20分ほどで会社に着いた。 すでに外回りの社員は出払っていて、駐車場には空きが目立つ。 オレはアタッシュケースを片手にエレベーターに乗ると、3階にある事務所へ向かった。 「おはよう。」 ドアを開けると同時に、事務所内にいる社員たちに声を掛ける。 そして、そのまま社長室に入り、デスクに乗せられた伝言のメモを端から順に読んでいると、ドアをノックする音が聞こえた。 「どうぞ。」 コーヒーが乗ったトレーを手に入って来たのは、オレのスケジュールを管理してくれている事務員兼秘書の匂坂(サギサカ)さんだ。 「おはようございます、社長。」 「ああ、おはよう。」 5年ほど前から事務員として働いてくれている彼女は、とても仕事が早くて正確な、いわゆる「出来る女性」で・・・ おまけに、コーヒーを入れるのがすこぶる上手い。 電話の応対や来客の接待も器用にこなす為、最近では、むしろオレの秘書的な役割をメインに仕事をしてもらっている。 オレはデスクに置かれたコーヒーをひと口啜ると、またメモに視線を走らせた。
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