第2章

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「まったく・・・呑気でいいな、オマエは。どうせ、七瀬さんの事なんか何にも考えてないんだろ?」 「・・・そんな事ないよ。」 「そんな事あるだろ。今までだって、ずっとオレ任せだったくせに・・・」 まぁ、たしかに・・・ 先方との連絡やら何やらで、今までコイツには散々世話になって来たけど・・・ でも、今回は違う。 今日はオレだって、少々の気遣いを見せて来たんだ。 「オレ、オマエが言う通りにして来たよ。」 「・・・何が?」 「今朝、七瀬さん宛に手紙を残して来た。よろしくお願いします、ってな。」 「・・・ホントか?」 「ああ。」 (まぁ、オマエに負担が掛かるような内容ではあるけれど・・・) 多少の後ろめたさを抱えるオレは、それを佐伯に悟られないよう至って自然に蕎麦を啜る。 すると、ヤツは嬉しそうに顔を綻ばせながら、ひと言・・・ 「成長したな、圭人。これはご褒美だ・・・とっとけ。」 そう言って、オレの皿に「かぼちゃの天ぷら」を1枚乗せた。 ・・・は? いい歳して「ご褒美」って・・・ 単に、オマエがかぼちゃ嫌いなだけだろ? 「・・・・」 オレは、満足そうに笑みを浮かべる佐伯を白い目で見つめながら思った。 やっぱり、手紙の詳細は明かさないままでいよう・・・と。
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