第2章

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「ただいま。」 玄関で靴を脱いでいると、リビングの方からパタパタと昂の足音が聞こえた。 「父、おかえりー!」 「ああ、ただいま。佐伯は?もう帰った?」 「うん、ついさっき。『もう少ししたら、父が帰って来るから』って言って。」 「そうか。」 もちろんオレも、早く嫁さんのところへ帰りたいだろうと思って、気を利かせて電話をしたつもりだったのだが・・・ 入れ違いで帰ったと聞くと、何だか連れない気分になってしまう。 「ねえ、父。夕飯まだなんでしょ?」 「ああ。」 「今日は、アオイがカレーを作ってくれたんだ。よかったらどうぞ、って言ってたから・・・」 「・・・へぇ。」 リビングに荷物を置いて、キッチンへ入る。 昂の言葉通り、コンロの上にはカレーが入った鍋が置かれていた。 「・・・美味そうだな。」 「うん、美味しかったよ。よかったら、父も食べてみて。」 昂はそう言い残すと、タタッとリビングへ戻って行った。 フフッ、何だ・・・まるで自分のカレーみたいな言い草だな。 オレは、クスッと笑うと、鍋に入ったカレーを温め直した。
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