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温めたカレーをよそって、ダイニングテーブルにつく。
・・・すると
「・・・ん?」
目の前の灰皿の下に、今朝置いたものとは違うメモ用紙が挟まっている事に気づいた。
もしかして・・・オレへの返事か?
灰皿を退かして、おもむろにメモ用紙を手に取る。
絵柄のついたピンク色のメモ用紙には、柔らかな女性らしい筆跡でオレ宛の返信が書かれていた。
『ご親切にしていただき、ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いいたします。今日、昂くんは、とってもイイ子でしたよ。お口に合うか分かりませんが、カレーを作ってありますので、お腹が空いた時にどうぞお召し上がりください。 七瀬 碧。』
もしかして・・・佐伯が言っていた「ご褒美」とは、この事だったのだろうか?
夕飯を作らなくて済んだ上に、家政婦を続けてくれるという嬉しい返事まで・・・
何より「昂がイイ子だった」という、滅多に聞く事が出来ない奇跡のような言葉に胸を打たれた。
まだ23歳の娘だと聞いていたから、どうせ世間知らずのお嬢さんなんだろうと思っていたけど・・・
文章も丁寧で、字もキレイだし、前日フラフラになるまで振り回された昂の事を「イイ子」と言えてしまうその度量の広さも目を見張るものがある。
きっと彼女は、聡明でとてもしっかりした女性なんだろうな・・・
どうやら、派遣会社が言っていた「最終兵器」という言葉に嘘はなかったようだ。
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