第2章

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彼女が家政婦を続けてくれる事にホッと胸を撫で下ろしながら、カレーを口に入れる。 「・・・美味い。」 メモを見ながら食べているからだろうか? 見た目は何の変哲もない普通のカレーなのに、妙に美味しくて・・・どこか懐かしい味がした。 きっと、こういうのを「家庭の味」と言うのだろう。 カレーを掬う度に、なぜか心まで温かくなって行く。 もしかしたら・・・1人で食べる夕飯で、こんなに穏やかな気持ちになったのは初めてかもしれない。 「あー、美味かった。」 結局・・・簡単に「お茶漬け」で済ませようと思っていたのに、ガッツリおかわりまでしてしまった。 フフッ・・・手紙をもらうのって、けっこう嬉しいものなんだな。 テーブルの上で頬杖をつきながら、ピンク色のメモ用紙をピンッと指で弾く。 今度は、カレーのお礼でも書いておこうか? オレは、リビングからペンをとって来ると、彼女が書いたメモ書きの裏側に返事を書き始めた。 『カレー、ごちそうさま。とても、美味しかったです。昂も喜んでいましたよ。今日も暑くなりそうです。熱中症にならないように気をつけて下さいね。    城崎』 ペンを置いて、書き終えた返事を読み返す。 果たして・・・明日、彼女はコレを見てどう思うだろうか? 喜んでくれるといいのだけど・・・ オレは、未だ見ぬ彼女に思いを馳せながら、昂に見つからないようそっとメモ用紙をアタッシュケースの中にしのばせた。
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