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彼女の顔が、みるみるうちに蒼白になって行く。
オレはそんな彼女を一瞥しながら、昂に向けて言葉を放った。
「で、ちゃんと謝ってもらったのか?」
「ううん。 やっぱり女っていうのは、どうしようもない生き物だよね。 謝る事すら満足に出来ないんだから。」
フフフッ・・・さすが、我が息子! 満点の受け答えだ。
ごにょごにょと何やら謝罪めいた言葉を呟く彼女を尻目に、オレの加虐心はますますエスカレートして行く。
「そうか・・・謝ってくれなかったのか。 それは、残念だな。」
「ですからね、今、まさに、その謝罪の言葉を・・・」
「どうする?昂・・・このままにしておくか? それとも・・・」
こういう時のオレは、自分でも驚くほど天才的な追い込み方を発揮する事が出来るのだ。
恐怖に怯える彼女を見つめながら、ニヤリと口角を上げる。
そして、おもむろに上着を脱ぎ捨てると、堅苦しいだけのネクタイとYシャツのボタンを外しながら彼女の二の腕を掴んだ。
「ほら・・・こっち来いよ。」
もう彼女の表情のどこにも、あの日の勢いなど見受けられない。
オレは、強引に彼女をソファの前まで連れて来ると、自分の肩を指差しながらクイッと顎を上げた。
「オレ、肩が凝って死にそうなんだけど・・・」
「・・・分かりました。」
彼女は、諦めたようにぐったりと頭を垂れると、重い足どりでソファの後ろ側に移動して行った。
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