第2章

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彼女が帰ると、リビングにはいつもの静寂が戻って来た。 (ちょっと、イジワルし過ぎたかな・・・?) 多少の反省をしつつ、彼女の行動を思い返してみる。 そういえば、彼女と初めて会った日・・・ たしかあの日は、彼女が家政婦として初めてウチに来た日で・・・ 佐伯の報告によると、相当昂にやり込められたらしく、ヤツが家に着いた時、すでに彼女はフラフラになっていた・・・との事だった。 駅でオレに会ったのは、そんな事があった直後の帰り道。 だとしたら、あの時、彼女の機嫌がすこぶる悪かったのも十分頷ける。 そう考えると、あの日オレが彼女に足を踏まれた事も、結果的には間違っていなかったような気がする。 「バタフライ効果」とでも言おうか。 昂の悪行の責任が、最終的にああいう形でオレに降りかかって来ただけの事だ。 もちろん、息子がした事の責任は親であるオレにあるわけだから・・・意味の分からない罵声であれ、心が折れるような痛みであれ、それ自体は一切の責任を負う者として甘んじて受け入れなければならない。
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