第2章

23/28
前へ
/488ページ
次へ
靴下を脱いで、右の足先を確認する。 薄っすらとはして来たものの、足先にはまだ彼女に踏まれた跡が残っていた。 まるで、オレへの恨みはまだ消えていない、と言わんばかりに。 (ふーむ・・・どうにかして彼女の機嫌を直せないものだろうか・・・?) そんな事を考えながら視線を彷徨わせると、チェストの上に置いてあるサボテンの鉢が目に入った。 どうやら、下に敷く皿を忘れたらしい。 フフッ・・・それが理由で、床に水を撒き散らしたのか。 何という、初歩的なミス・・・ どこまでもドジな彼女に、沸々と笑いが込み上げて来る。 オレは、隣りで本を読み始めた昂を見下ろすと、笑いを噛み殺しながら彼に声を掛けた。 「昂・・・もう眠くなっちゃったか?」 「ううん、まだ眠くないよ。」 「じゃあ、ちょっと買い物に付き合ってくれないか? これ以上、絨毯のシミを増やされたら大変だから。」 どうやら、その言葉で何を買いに行くのか分かったらしく・・・ オレは、ニッコリと笑いながら頷く昂を抱きかかえると、財布と車のキーを手に玄関へ向かった。
/488ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6062人が本棚に入れています
本棚に追加