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靴下を脱いで、右の足先を確認する。
薄っすらとはして来たものの、足先にはまだ彼女に踏まれた跡が残っていた。
まるで、オレへの恨みはまだ消えていない、と言わんばかりに。
(ふーむ・・・どうにかして彼女の機嫌を直せないものだろうか・・・?)
そんな事を考えながら視線を彷徨わせると、チェストの上に置いてあるサボテンの鉢が目に入った。
どうやら、下に敷く皿を忘れたらしい。
フフッ・・・それが理由で、床に水を撒き散らしたのか。
何という、初歩的なミス・・・
どこまでもドジな彼女に、沸々と笑いが込み上げて来る。
オレは、隣りで本を読み始めた昂を見下ろすと、笑いを噛み殺しながら彼に声を掛けた。
「昂・・・もう眠くなっちゃったか?」
「ううん、まだ眠くないよ。」
「じゃあ、ちょっと買い物に付き合ってくれないか? これ以上、絨毯のシミを増やされたら大変だから。」
どうやら、その言葉で何を買いに行くのか分かったらしく・・・
オレは、ニッコリと笑いながら頷く昂を抱きかかえると、財布と車のキーを手に玄関へ向かった。
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