第2章

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そして、パソコンの前に座り、サボテンの検索を始める。 彼女が水やりに失敗したと聞いて、どうして砂漠に生えてるサボテンに水なんかやるのだろう?と不思議に思ったが、全部が全部そういう訳ではなかったらしい。 むしろ、たいていのサボテンは、定期的に水をやらないと枯れてしまうのだそうだ。 今までサボテンに興味を持った事などなかったせいか、知らない事だらけでけっこう面白い。 サボテンって、こんなにいろいろな種類があったんだなぁ・・・ その数の多さに感心しながらあちこちのサイトを閲覧していると、ちょっと気になる記事を発見した。 『夜しか咲かないサボテンの花』 (ふーん・・・そんなサボテンがあるんだ。) その言葉に何となくロマンを感じて、興味本位で記事をクリックしてみると・・・ そこには、丸いサボテンから伸びた長い首のような茎の先に大輪の花が咲いている写真が添付されていた。 『桃花短毛丸』 凛としながら空に向かって咲いているその花はとても気高く・・・そして美しい。 その花をじっと見つめながら、いつの間にか彼女の顔が脳裏に浮かんでいる事に気づいて少しだけ驚いた。 棘のあるサボテンから伸びたピンク色の可憐な花・・・もしかして、そのギャップのせいだろうか? オレの足を踏んだ勢いはどこへ行ったのか・・・今日の彼女は、まるで借りて来たネコのようだった。 棘と花・・・何となく、彼女に似てる。 「・・・フフッ。」 明日、彼女があの皿を見て喜んでくれるといいのだけれど・・・ その晩・・・オレは、ベッドの中でそんな事を考えながら静かに瞼を閉じた。
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