第3章

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「かしこまりました。それでは、早速手配を・・・」 「断るッ!」 匂坂さんが了承したとたん、佐伯はテーブルをダンッ!と叩いて立ち上がった。 「そんな名刺、貰っても使わないからな!」 「ふーん・・・専務がイヤなら社長でもいいけど?」 「そんなの、もっとイヤに決まってるだろッ!」 「じゃあ、オレの仕事手伝えよ。」 「・・・・・」 ・・・フフッ。 貰ったな。 匂坂さんも事の成り行きが読めたらしく、こちらを窺いながらクスクスと笑っている。 「そういうわけだから・・・みんなにも言っといて。これからは、佐伯にジャンジャン仕事を回すように、って。」 「分かりました。戻ったらすぐに伝えますね。」 「ああ、よろしく。」 「ふんッ・・・圭人のイジワル。」 佐伯は小さな声でそう呟くと、項垂れるように背中を丸めながら自分の両膝を抱えた。
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