第3章

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***** そして、18:00を過ぎた頃・・・ (さて、と・・・仕事も終わった事だし、帰るとするか・・・) 帰り支度を済ませてドアを開けると、佐伯の刺すような視線がオレを貫いた。 「おつかれ。お先に失礼するよ。」 「社長、おつかれさまです。」 オレの言葉に、みんな口々に労いの挨拶を返してくれる。 そんな中、山積みの書類に囲まれた佐伯は、「チッ!」と舌打ちをしただけで、それきりオレの顔を見ようともしなかった。 まぁ、無理もない・・・ 『社長、世田谷の杉山邸の件なんですが・・・』 『ああ、それなら佐伯に任せてあるから・・・』 『匂坂さん。この資料を佐伯に渡して見積もりを出すように言って。期限は3日後で。』 『かしこまりました。』 ・・・その他、諸々。 言ってみれば、そのおかげで普段よりも数倍早く仕事を片づける事が出来たのだから、アイツには感謝しないといけない。 オレの視線に気づいたのか、佐伯がチラッとこちらを向いた。 (フフッ・・・怒ってる、怒ってる。) オレは、相変わらずふて腐れた顔でパソコンと向き合っている佐伯に笑みを零すと、軽く右手を挙げながら会社を後にした。
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