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どこかで事故でもあったのだろうか・・・?
幹線道路に入ったとたん、ひどい渋滞に巻き込まれてしまった。
19:00までには帰れると思って会社を出たのに、このままでは彼女の帰宅時間に間に合わなくなってしまう。
オレは、早々に幹線道路を外れると、車の少ない住宅地を抜けて家路に着いた。
「悪い・・・遅くなった。」
駐車場に車を停め急いで家に帰ると、目の前の廊下でしゃがんでいる彼女が驚いた顔でこちらを振り返った。
何も、そんなに驚いた顔する事ないだろ・・・
上がった息を整えながら、おもむろに靴を脱ぐ。
すると、何やら気まずそうな雰囲気を纏った彼女が、オドオドとした口調でオレに話しかけて来た。
「あの・・・お皿、ありがとうございました。」
「・・・ああ。」
実のところ、あの皿を見て彼女がどう思ったのか、ずっと気になっていたのだけれど・・・
それを表に出すのが何となく恥ずかしくて、素っ気ない返事しか出来ない。
そんなオレに対して、何か気の利いた話でもしよう・・・などという器用さは、彼女も持ち合わせていないらしく・・・
「・・・・」
「・・・・」
数秒の沈黙の後、少々気まずい雰囲気だけがオレたちの間に残った。
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