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そんなお世辞にも和やかとは言えない空気の中、今日もオレはエラそうに肩を差し出す。
「・・・ん。」
どうしてそんなにぶっきらぼうな態度しかとれないのか、自分でもよく分からない。
これから何かと世話になるであろう彼女とは、出来るだけフランクな関係を築きたいと思っているけど・・・
後ろから伝わって来る彼女の戸惑いに・・・
終始、落ち着かない言動を繰り返す彼女に・・・
きっと、出会い方が悪かったんだな、と諦めにも似た気持ちが頭をもたげる。
あの日、オレたちが駅で出会わなかったら、もう少しやんわりとした関係を築く事が出来ていたのだろうか?
彼女はまだ、オレの前で一度も笑っていない。
「今日は、勝手に帰るなよ。」
また性懲りもなく、彼女に高圧的な言い方をしてしまった。
ホントはもっと優しく言ってやりたいと思ってるのに、どういうわけか口を開けばこんな言葉ばかりだ。
どうも彼女といると、調子が狂ってしまう。
もっと自分で自分をコントロール出来る人間だったはずなのに、言い方一つ自分の思い通りにならないなんて・・・
「分かりました。」
事務的な彼女の声に、またオレたちの距離が少し離れたような気がした。
どうやら彼女は・・・オレが苦手なようだ。
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