プロローグ

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「もちろん2番だろ!」 これまで何度も聞かされた質問に力一杯答える僕を横目に、目の前でビールの中ジョッキを煽る僕の唯一の親友、大志。 「わかってねーなー。だから何度も同じ理由で捨てられるんだよ、お前は」 「だから大志に言われた通りにしただろ。それでも結局…」 大志曰く 『そんな事言われる事態にまで陥ってるんだぞ?相手のヤローだって考えに考えた末の結論なんだ。そこまで悪化してるところに泣き落としですがりついてどうなるって言うんだよ。お前が未練がましく泣き付いた結果がユスリとタカリと脅迫なんていう最悪な事態を招いてるんだろうが。』 だそうで。 誰かと付き合うたびにその相手に好きな人が出来て振られるの繰り返し。 振られるだけならまだしも、その後、元恋人から同性愛者だという理由でゆすられる。 『おカタイ仕事してんだからさぁ。やっぱマズイよねぇ男が好きなんてバレたら』 てな具合にね。 「だーかーらー。俺の言う通りにしてアッサリ別れたおかげで最後の男はユスリに来てないわけだろ?万々歳じゃないか」 鼻息荒く僕を指さす大志は何の問題もないと言わんばかりだ。 そもそもそれ、得意気に言うところ? 「健太には職場どころか家も本名も教えてないもん…ユスろうったってユスリようがな…」 「だからさ、もうやめろよ。出逢い系サイト」 さっきとは打って変わって優しい瞳で僕を見詰める。 長身でスタイル抜群のイケメン高校教師の大志が僕と同じ同性愛者だったらと、これまでの人生で何度思っただろう。 頬杖をつく大志の左手の薬指に光るプラチナの指輪が心底腹立たしい。 「僕たちの出逢いなんて大志たちとは違ってその辺に転がってるモンじゃないんだよ。こっちから出逢いに行かなきゃ運命の相手にだって出逢えやしないの」 出逢いに行ったところで結果は惨敗だけどね… .
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