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「最悪だ…この世の終わりだ…」
私はコノオワが嫌いだった。歌詞に共感できないと言うのもあるけど、そんなのは度外視で、何よりも彼等は全然終わってないからだ。
いや、始まった瞬間から誰しも緩やかに終わりに向かっているんだろうけど、それを言うなら彼等は寧ろ始まってる状態であって。
今生の始まりとでも名乗るべきだと私は思う。
「ねぇさんの気持ちは解らないでもないけど」
私の呟きに、隣で同様に音楽系のテレビ番組を見ていた妹が反応する。
「あの人達はセカオワだからね」
「ど、どちらにせよ同じ意味でしょ」
苦し紛れの申し開きをすると、妹は「へぇ」と愛らしく――憎らしく――片方の口角を釣り上げる。
「言いたいことがあるなら言いなさい」
「別にぃ?」
歯を磨いて眠ろうとした時に、スマホがメッセージを受信する。差出人は妹だった。本文にはこう記されていた。
『(ねぇさんの)若さの終わり(笑)』
その日、一つの世界が終わりを告げた。妹の処刑という結末によって。無垢なあの頃には、もう戻れない。
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