第1章

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 最悪だ、この世の終わりだ……  目の前の状況を信じられずに、僕は頭上を仰ぎ見る。しかし、視界に入ってくるものは、タイル状の天井。閉鎖された空間、正方形状の一室には消臭剤の他にも異臭が漂っているようにも感じられた。  こんなことになるのならば、今日一日家から出なければよかった。しかし、そう考えたところで、もう遅い。ひざ下までずり下げられたデニムとボクサーパンツは先ほどまでは僕の肌を寒さから守ってくれていたというのに、今になってはただの冷たい布だ。 「紙がない」  カラン…とむなしい音が鳴り響く。通常ならばトイレットペーパーが設置されている部分には紙のかの字もなく、ストックされているであろうタンクの上には紙のみの字もない。  それに加え、このトイレは寂れた公園に設置されているトイレであり、常日頃から人っ子一人いない。なぜそんなところに駆け込んだのかというと山よりも高く、海よりも深い理由がある。  腹痛に襲われたからである。 「牡蠣か?牡蠣なのか!?昨日食べたカキフライか!!?それとも今日の朝の牡蠣鍋かっ!!?」  額に冷や汗を浮かべながら頭を抱える。 「誰かああああっっっ!!!紙を……紙をくださああああいっっっ!!!!」  僕の絶叫が人気のないトイレ内に反響していた。
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