536人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕たちもやろう」
オッサンが物置小屋からスコップを持ってきて、手渡された。
オレは、通路にへばりついたワニの脚をすくいあげる。
思いのほか頑固にへばりついていて、スコップの先でガリガリこすらないと、きれいに取れなかった。
「これ、食べさせた方が早いんじゃないのか? シンタロウ、食べていいぞ」
フードから飛び降りたサルモドキは、嬉々としてワニの肉片を頬張った。
ジイさんのラバナスなら、良質な肉に違いない。
どんどん食え、好きなだけ食え、とヤツをけしかける。
「やっぱり連れて来て良かった。サンナン号も行け。これでエサ代が浮くよ」
続いてオッサンがケンネルの扉を開ける。
三男坊も嬉しそうに食らいついた。その見事な食べっぷりは、シンタロウに負けてない。
スコップで作業を続けていたクマ公は、チラチラと二匹を横目で見ている。ちょっとうらやましそうだ。
袋に肉塊を投げ込みながらも、葵さんの表情をうかがう様子。
「もう、しかたがないわね。いいよ、食べても」
許可を得たメドヴェーチは、スコップを放り投げてむしゃぶりついた。
最初のコメントを投稿しよう!