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ジュウという音とともに煙が立ち昇る。わずかに火も上がる。
それを面倒くさそうに見つめながら、次々に肉片を焼いていった。
「最近じゃあ、ゴミを捨てるのも大変よ。たき火すら、勝手にできやしない。まあ、ここなら、何を焼いたって誰も文句は言わないからね」
トングには、ワニの頭が挟まっている。
それを、一番火の勢いが強いところに置いた。
肉の焼ける匂いがたちこめ、吐きそうになる。
たくさんの人たちが利用し、健全さを絵にかいたような総合公園。
その一画で、化け物が焼却処分されているなんて、誰が考えるだろう。
嗚咽して口を押えるオレを、葵さんは笑って見ていた。
「それにしても、キミが警察に顔が効くなんて思ってもみなかったわ。上層部に圧力をかけておいても、ああいうはねっ返り刑事は抑えきれないのよ。どんな手を使ったの?」
オレは、彼女の質問に答えられなかった。
まさか、全国大会に招待することを理由に引き下がってもらったなんて、言えない。
どうやっても高柳刑事を抑え切れなかったオレは、すべて教えることを条件に帰ってもらうことにした。
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