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「なんだか、嫌な流れが続くわね。今年に入って、人を襲うラバナスの事件が頻発してる。先生を襲ったこの事件、山形市で見つかった頭部だけの遺体、それに・・・」
「北海道代表の草試合! あれもブリーダーが襲われたって!」
「そう。ソルティヌーブ号のブリーダーは、左腕を失ったの。人を食べるなんて、悪食なラバナスだわ」
「それがすべて同じラバナスのしわざなのか?」
北海道、山形市、五泉市。南下するように移動するラバナス事件。
これが同一の犯人だとしたら、道央・道南代表のソルティヌーブ号から奪った全国大会の招待状を持っている可能性が高い。
人食いラバナス。悪魔を食い散らかす怪物。シンタロウを恐れさせる謎の存在。
手掛かりは、ヒヅメの足音だけ。
「出場する気だろうか?」
葵さんは首を横に振る。
「わからないわ」
そんな怪物が相手だとしたら・・・敵うはずがない。
絶句していたオレたちの背後に、テントから目覚めてきたばかりのキャンパーが近づいて来た。
「朝から美味しそうな匂いがしていますね」そんな言葉をかけてくる。
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