第17話 足音

47/50
533人が本棚に入れています
本棚に追加
/373ページ
何気なく、東京土産を検索。 無理言ってバイトを休ませてもらうのだから、土産くらいは買っといた方がいいだろう。 副店長のご機嫌取りも、仕事の内なのだ。 ばなな、ひよこ、たまご、おこしではオーソドックスすぎるかな。 ラスク、レーズンサンド、マカロンだと気取りすぎてオレらしくない。 だからといって、ポップコーンの行列に並ぶ時間はないだろうし。 なんか考えるのが面倒臭くなってきた。柿の種でも買ってきてやろうか。 そんなことダラダラ考えていたら、いつの間にか夕刻。 LINEの着信とともに、窓の外から声がかかった。 「さあ、行こう!」 水色のラパンの前で、手を振る梅田さん。 LINEには『さあ、行こう!』と書かれていた。 同じ文言を叫ぶのなら、LINEなんて送る必要ないじゃないか。 今日は珍しく、ジャケットなんて着ている。 「全国大会だからね、ちょっとオシャレしてきたんだ」 オシャレ。万年ポロシャツのオッサンには、一番似合わない言葉だ。
/373ページ

最初のコメントを投稿しよう!