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エントランスに到着するなり、ボーイさんが車のドアを開けてくれた。
ラパンは駐車場に回しておいてくれるらしい。
「お荷物をお持ちしましょうか」なんて、生涯一度も言われたことのない言葉。当然、遠慮したよ。
だってオレの荷物は、下着が入ったリュックと、サルの入ったトートバッグのみ。どっちも、人に預けられるものじゃない。
ロビーだってすごいんだ。ヨーロッパの神殿みたいに、真っ白いアーチ状の柱が渡り、掃除の心配をしてしまうほど天井が高い。
中央には階上へ繋がる立派な階段がある。緩やかにカーブした、大理石作り。
今にも大女優がスポットライトを浴びながら降りてきそうな、そんな大仰な階段だ。
オッサンは、綺麗なお姉さんが並ぶフロントでチェックインを済ませてさ。
ボーイさんに促されて、エレベーターで六階まで上がったんだ。
案内された部屋が、これまたすごい。
オレのボロアパートより広いかって? そんなの、当たり前。比べものにならないよ。
中央には、キングサイズのベッドが二つ、ドカン、ドカンと置かれている。
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