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ガラステーブルには、色とりどりのフルーツが入ったボウル。
窓かなって思ったらデカい壁掛けテレビ。
本物の窓の外は、月明かりに照らされた大塚山と日の出山が広がっている最高のロケーション。
真下の駐車場には、たくさんの高級車が、ミニカーコレクションのように並んでいた。
地上十八メートル。こんな所から落ちたら命はない。ちょっと背筋が寒くなって、窓を閉める。
広いバスタブ、柔らかいタオル地のガウン、ズラリと揃ったアメニティ、どれをとっても高級品だ。
堪らずベッドに飛び込むと、身体の半分が沈み込むほどフカフカ。きっと真夏の入道雲に寝転んだら、こんな気分なんだろうってくらいだ。
そこでオレは我に返って、梅田さんをにらんだ。
だって、こんな高級ホテル、いったい一泊いくらするんだよ。
「オレは、こんなとこ泊まるほど金持ってないぞ」
オッサンが、眼前で手をヒラヒラと払う。
「ああ、いいの、いいの。ここの宿泊代は運営持ちだから」
なんて気前のいいやつらなんだ。全国大会ともなると、賞金も待遇もここまで違うのか。運営さまさまだな。
「ルームサービスも運営持ちなんだって。何か食べる?」
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