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バスルームへ行くと、シンタロウもまだ起きていて、浴室内をウロウロとしている。
バスタブを登ってみたり、タイルに腹をこすりつけてみたり。
ああ、排水溝の横には、たっぷりの糞が山を作っているじゃないか。
ボロアパートでも高級ホテルでも、出るものは出るんだな。オレはそれをシャワーで洗い流す。
落ち着かない様子のシンタロウは、オレの背中に飛び乗って、小声でキーキーと唸っている。
「なんだ、おまえも眠れないのか」
ヤツを胸に抱えて、浴室の壁に背を預けてしゃがみこむ。
どのくらいの時間、そうしていたんだろう。薄ぼんやりと白み始める窓を見つめながら、ようやくオレにもまどろみが訪れてくれたんだ。
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