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「起きなよ! もう時間だよ! 本当にキミたちは仲がいいんだなぁ」
梅田さんの大声に気付いて、目を覚ます。
オレはシンタロウを抱きかかえ、浴室の壁に寄りかかりながら爆睡してしまっていたのだ。
ヤツも、今起きたばかりのようで虚ろな目をしている。時計の針は十時を回っていた。
オッサンは洗面所の鏡の前で、蝶ネクタイを結んでいる。
ジャケットに蝶ネクタイって、フジテレビのアナウンサーじゃあるまいし。
起き抜けの癖で、ついついその横に女子アナを探してしまう。今日のスカート丈は?
寝ぼけている場合じゃなった。着替える間も与えられず、手を引かれる。
「運営の人が待っているんだから、さあ、早く」
シンタロウをフードに突っ込むだけで何の準備をする暇もなく、寝ぐせ頭のままエレベーターに押し込まれた。三男坊は、ひとり部屋でお留守番だ。
「キミが起きてくれないから、朝食は僕ひとりで済ませてしまったよ。あのバイキングは、最高だったなぁ」
昨夜あれだけ食べて、朝食バイキング? この人の食欲はラバナス級だな。
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