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意識を失ったポッチャリ真知子ちゃんを家まで送り届けるため、オレたちはベッピンさんのカングーに同乗した。
「わたしも、今夜は真知子のところに泊まります。ありがとうございました」
睦美ちゃんが頭を下げて、礼を言う。
「心配しないでください。今夜中には、害虫駆除と消毒を終わらせておきますので、明日からはあのお部屋で過ごされても何の問題もありませんから」
ベッピンさんは、彼女に名刺を渡した。
オレは名刺を横目で覗き見る。
『県立保健センター 害虫駆除係 担当 葵薫(あおい・かおる)』と書かれていた。
「睦美ちゃん、ちゃんと後片付けしておくから。部屋の鍵は、明日返すよ」
「修治さん、本当にありがとう。修治さんに相談して良かった」
何度も頭を下げて見送ってくれる睦美ちゃんを背に、オレたちは再び黄色い車に乗り込んだ。
マンションまで戻り、ネズミグモの肉塊を回収するために。
彼女は、上着を脱ぎ、ワイシャツを腕まくりし、靴下を脱ぎ、パンツの裾をたくし上げる。
トングとジップロック幾枚もつかんで、バスルームへ入っていった。
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