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ワイシャツのボタンを三つも外しているせいで、並んだどんぶりのような胸元が露わになっていた。
深い谷間に、ちらりと見える下着の色は、黒。
いやいや、駄目だ。オレは余計な欲望を振り払って、掃除に集中する。
「それにしても、夜はまだ冷えるわね」
グビグビとコーヒーをあおりながら、膝を抱えてオレの仕事ぶりを監視している彼女。
唐突に尋ねてくる。
「あなたが、梅田哲郎?」
違う、と首を振ると葵さんは「だってジュビリー二号のブリーダー名は、梅田哲郎になっていたわよ」とつぶやいた。
「それはメインブリーダーの名前。オレは、稲葉修治。サルモドキの保護者」
そうなんだ、と生返事をしながら、またコーヒーを飲む。
「じゃあ、丸潟の家畜被害がピタリと止んだのって、あなたたちのしわざ?」
ああそうだ、と今度はオレが生返事。見てないで、掃除を手伝ってくれよ。
「で、家畜被害の次は、天井裏のクモ退治? 何なの、野良ラバナスを始末するヒーローにでもなったつもり?」
なんか、ムカツク言い方。
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