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『取り敢えず、屋上に行きましょう。 仮に他の建物に彼等がいたら、屋上にいる佐野さんが気付かれるかもしれない。』
階段近くの洋服屋の室内をガラス越しに確認しながら、飯田が更なる懸念材料を口にする。
確かに今の佐野は八神救出の事で頭が一杯。 注意力が散漫になっている。
気付かれる可能性は大いにある。
『急ぎましょう。』
頭を過る最悪なケースを振り払い、朋香達は出来る限りの速さで佐野のいる屋上へと向かった。
・・・
一方、既に屋上に着いていた佐野は朋香達の予想に反して慎重な行動を取っていた。
扉を少し開けると自身のいる建物より高い建物へ注意を向ける。
更に姿勢を低くし、建物の影を利用しながら全体を見渡せる場所まで移動する。
『まだ、遠くに行ってなけりゃいいんだけどな。』
極力、顔を出さないように建物、大通りから路地まで見渡す。
すると
『………ん?』
佐野がいる建物から三つ離れた向かいの建物の窓に複数の人影。
その建物は三階建のカラオケ店。
人影があるのは最上階。 腰辺りまで上がったカーテンから覗く室内に良く見ると、数人の背中が見える。
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