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「はぁ・・・・・・」
白いため息を吐きながら暗い夜道をトボトボと歩く。
「どうしていつも私ばっかりなのよ・・・・・・」
文句が出るのもしょうがない、高校生なのに11時まで残業させられたのだから。
だからとはいえ、親の仕事の手伝いなので正式なバイトという訳でもない、だから愚痴しか言えないのだ。
冬は寒い、早く家に帰りたい。
「おじょーちゃん」
突然声を掛けられ動きが止まる、ほんの少しの恐怖が心を侵食し始める。
「飲み物を持ってないか?おっと、酒以外で頼むよ」
ガードレールを背もたれに20~30歳程の男がそこにいた。
「あぁ、金ならちゃんと払うし時間があるならお礼もするさ」
余り辛そうには見えないが何となくバッグに入っているミネラルウォーターを差し出す。
別にお礼が欲しいわけじゃない。
男は水が服にこぼれるのも気にせず男はゴクリゴクリと飲みくだした。
「ありがとな、おじょーちゃん。さて、なにか晩飯でもこれで食べな」
スッと男はポケットから3万円を取り出した。
「いや、そんなに貰えません!」
突然の大きな額に少し動揺して声が上擦る。
「いいんだよ、今日はそんな気分なんだ」
「いえ、でも・・・・・・」
「そうだよな、いきなり金なんておっさんから渡されても怖いもんな」
男は寂しそうな目をしながら金をポケットにしまった。
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