終末の日に

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下げずむ瞳は、信仰心の薄い人々が私に向けたものと同じです。 「己に都合の良い様に、全てを捻じ曲げ解釈する小賢しい大悪党」 呪わしい文句が悪魔の口から放たれ響きます。 「だからアンタはただ一人、この世界をさ迷いな。神の審判が下されるその日まで」 喋りたいだけ喋ると、悪魔は私の前から去って行きました。 ああ、神よ。感謝致します。 この身を悪魔から護って下さって。 一度あの穢らわしい手が触れたのは我慢がなりませんが、それは貴方が私に与えた試練なのでしょうね。 さあ、この手にした金貨で私は、パンとワインと今夜の宿を取りましょう。 ですが、おかしな事が起こりました。 宿屋の人は私が声を掛けても無視します。 喉が渇き木に生る林檎を採ろうとしましたが、すり抜けるばかりでちっとも掴めません。 川辺の水を掬い飲もうとしましたが、掬えません。 今になって悪魔の告げた言葉が甦ります。 私は呪いを掛けられたのです。 あの忌むべき存在から。
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