毒蜘蛛

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まるでサロンのような空間。

客にもセミフォーマルな服装の着用を要求している一段敷居の高いJAZZ BAR。

「今日もリュウは素敵ね。溜め息が出ちゃうわ」

「セイのあの綺麗な顔。ずっと眺めていたい……」

口元をハンカチーフで押さえた女たちの囁き声が嫌でも耳に入ってくる。

訪れる女たちの大半の目的は、

ここ自慢のイタリアンでも異性の客との出会いでも、新たな人脈形成でも無かった。