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「そういうこともあるって……どれぐらいの確率で?」
「知らない。何も残らず焼けてしまう。ただそういうこともあると」
だとすれば
このまま永久に征司は姿を現さないんだ――。
そう思うとゾッとする。
「でもそんなの、滅多にあることじゃないと思うよ。多分……多分ね」
恐ろしい現実から逃避するため。
僕はまた運ばれてきたギムレットを煽った。
「僕もそう思う」
力強く同意した後。
「ねえ、どうだい?お兄さんが生きていると仮定して失踪の理由は?」
凪の大きな瞳が揺らぐ。
「一部の週刊誌が騒いでいる通り――君との道ならぬ関係のせい?」
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