261人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
episode 176 Kissing Gimlet
「和樹……和樹……」
誰かが僕を呼ぶ声がする。
はっとして身を起こすと
そこはさっきまでいたナイトクラブのバーカウンターだった。
「ねえ君、天宮和樹くんだろう?」
「……どちらさまですか?」
同じ場所。
どうやら
カクテル片手にうとうとしていたらしい。
目の前に立つ
大きな垂れ目のハンサムな男は
すかさず僕に名刺を差し出した。
「新聞記者……」
「名前で呼んでよ」
「何と読むの?」
大音量の音楽が邪魔するからか
男は僕の耳元すれすれまで唇を寄せ名乗った。
「波間風凪(はまかぜ なぎ)」
最初のコメントを投稿しよう!