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からかうように鼻で笑ってやると
凪は人懐っこそうな顔で
「僕にもこれ」
バーテンに同じものを注文した。
しばし沈黙。
職業柄か
その間も僕から目を離さない。
「どうして僕だと?」
「ん?」
「どうして僕だと分かった?」
グラスの淵をなぞる
女より細い僕の指を
「だって……」
まるで犬のようにつぶらな瞳で追いながら
「君みたいな男の子いないもん」
緊張した声音で凪は答えた。
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