261人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「ごめん……洗って返すよ」
僕より十は年上だろうに。
凪は素直に頭を下げる。
「いい。差しあげるよ」
「だってこれ、凄くいいものだ」
「たしかに。ヴィンテージリネンのオーダーメイド品さ」
まったく
ハンカチまで
それしか使わなかった――。
「でもいいんだ。家に床を磨くほどある」
「けど……」
「洗って返すなんて――次に会う口実にしたいなら別だけど?」
半ば強引に僕が押し付けると。
「じゃあ、遠慮なく」
戸惑い半分
凪はハンカチをジャケットの内ポケットにしまった。
最初のコメントを投稿しよう!