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3時間後戻って来た社長は、土下座したままの爺と孫娘の顔を上げさせ、炬燵の上に封の切られていない100万円の束を7個おき、話しかける。
「これで社長に金を返しておけ。
100か200多めに返しておけば、社長も文句を言うまい。
但し、この金は口止め料だからな。
俺達はこのアパートに来ていない、電話もかかって来ていない、良いな、分かったな?」
2人は首を縦に何度も動かし、社長を伏し拝む。
アパートを出て、アパートの前に停まっている車の所まで歩きながら、俺は社長に話しかける。
「良いのですか? 金まで渡して」
社長は上着の内ポケットから1冊の通帳を取り出し、俺に差し出す。
俺はそれを受け取り、開き、金額を数える。
「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ、むぅ、なな、やぁ、ここ!?」
通帳には3億6千万円以上の金が記載されていた。
社長は通帳を俺から受け取り、話し出す。
「これだけ儲けさせてもらえたのだ、あれくらいなんでも無いさ。
それにもう少し稼がせて貰うつもりだ」
社長の愛車、レクサスの後ろに停まっている2台のワゴン車の荷台には、先程の若い男を含む6人の男女が猿ぐつわをかまされ、両手足を拘束されて放り込まれていた。
その放り込まれている若い男女達を見ながら、社長は話しを続ける。
「女をソープに沈めるなら、あの横領した女、若いだけが取り柄の不細工な女でなく、こいつらみたく綺麗な女達じゃないと高く売れないからな」
「男はどうするのですか?」
「こういう若い男を、死ぬまでなぶりたいという金持ちの婆もいるのだぜ、世の中には。
さ、懐も暖かくなったし、帰ろう」
俺はレクサスの後部ドアを開け、社長が乗り込むと静かに閉める、そのあと助手席に乗り込み、運転席の若い者に車を出すように指示を出した。
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