3人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
「やめろ! これ以上、頭の中に入って来るな。この体は、私のものだ」
「――え?」
「あんただよ。藍澤(あいざわ)宗助(そうすけ)。大人しくしてろ」
「あ……申し訳……ありません」
「まだ隅田川の古木にはいかない。あの場所には、死んだ人間も生きた人間も含めて、強い想いがたくさん残ってる」
それだけで樹希(たつき)には私が言いたいことは伝わったようだ。
二人で目だけで会話をすると、樹希たつきが廊下を駆けていき、藍澤(あいざわ)宗助(そうすけ)だけが状況が飲み込めず、慌てふためいていた。
「今説明する。頼むから落ち着いて。同化が進み過ぎてて、あんたの考えてることで支配される」
「申し訳ありません……彼女の事を想うとつい」
「分かってる。私にだって会いたいと思う人はいる」
「はい……」
眩暈と頭痛を抑えながら、気を抜いたら倒れそうなほど重い体を引きずって局長の部屋へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!