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「結構……ぶっとんだ話だし、それに、でも、想像は想像だろ……?」 「もー、美しき姿は、それだけ優れた遺伝子なんだってば。優れ、進化を重ねて美しさを紡ぐ体が、新たな、美しさ持つ個体を、作り上げる。ただのコピーだよ。ねえ、こう言っちゃうと、出来る気がしない?」  あまりに完璧すぎる笑顔は、話の信頼性を増していて。  ──それに、お兄ちゃん。想像妊娠って言ったことには触れないんだ。やっぱり……僕とヤることを考えてたの? それとも、僕が寝てる間に……とか? 「っ、ち、違っそんなヤってないし考えたこと、ない、し」  とは言いつつも、なんていうか……俺は『俺と俺が……』みたいな事を想像することが時折ある、一応、体裁を保つためにあった。位にしたいけれども。  ナルシストと言ってしまえばそれまでだが、自分に相応しい人がいないのが悪い。そう、思っていた。  だけど。  自分のスペックを上方に脳内補正してまで自分に当てはめた事はない。常に客観的事実として自分を評している。  つまりは自分を美化しない、そんな俺は、果たしてナルシストといえるのか。  ナルシストであっても、ましてナルシストでないならば、自分と自分で『そういう事』を想像できるものなのか。  今まで『俺と俺』で考えてきたが、俺の顔と弟の姿が全く同じであること、弟を他者と捉えないなど、自分の枠組みに弟が組み込まれていることがあったのではないか。  今まで考えもしなかった、考えないだけでずっとその場にあり続けた日常の設定への謎が浮き彫りになっていく。 「ね、お兄ちゃん?」  突然に端整な顔が近付き、応じるように、美しい頬の肌をそっと撫でてみる。  考えれば考える度に、わからなくなる。当然だ。世界はあまりに変わりすぎた。弟の話によれば、それを変えたのは俺である筈なのに。
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