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いつもならまてよーと言いつつ追いかけてくるのに今日は追いかけてこない。チラッと後ろを見てみると兄は立ち止まって夜空を見上げていた。
今日は月まもなく、街頭だって少ない通りだったから暗かったけど、そこだけやけに暗く見えた。
おい、なにしてやがると声を掛けようとしたが何かぼそぼそと呟いていた。
ほっておいてもいいが気になってしまい兄に近づいた。
「なぁ、弟はさ俺のこと嫌い?」
兄は俯いたままそんな事を聞いてきた。
は...?と固まっていると兄は顔を上げてへにゃと笑った。
だよなーお兄ちゃんうざいもんなーとヘラヘラ笑っている。
自覚はあったのか...なんてツッコミより先にどうしたと問いかけた。こんな姿見たことない。
「今日、クラスの女の子がお前のこと好きだって言っていた。」
......へーだから?
俺みたいな奴のことを好きな人がいるとは物好きだなとは思ったが、それとこいつがおかしいのとは全然結びつかない。はてなマークを打ち出しながら再び下に俯く兄の次の言葉を待つ。
なかなか言葉を出さない
イラッとしてチッと舌打ちをし、先に帰ろうとくるっと後ろをむいて歩いた。
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