いち

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「待って!!」 おいていくな... 消えそうな声でそんな事を言われた。 驚いて振り返った 兄も慌てて俺から背を向けた。 肩がかすか震えている 「おかしいよなぁ。お兄ちゃんお前に彼女とかが出来るの楽しみにしていに......お前に彼女が出来たらって思うと、寂しいんだ。」 兄が何もない小道に向ってぼそぼそと呟く。 は、何それ嫉妬みたいじゃないか。弟のことが好きと言った女の子に嫉妬するなんて気持ち悪い。 いくらでも頭に罵倒の言葉が出てくるけど口に出すことは出来なかった。 実際に口にしたのは、俺のことを好きなの...という疑問だった。 いつものだらしない笑顔で嘘だよって言うことを期待した。 お前みたいなクズに先を越されるのが怖いんだよと言う事を期待した。 あぁもう早く違うって言え。 ほかの言葉は期待しない。 ちがうの3文字が聞ければそれでいい。 早く、早く、早く、早く 「そう...だ...」 3文字。期待していたのとは違った。 3文字が俺に突き刺さる。 目の前が真っ暗になった。
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