プロローグ

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このまま、目当ての物を盗んだら、あとは何もせずにさっさと出ていってくれ。 無事にこの状況から解放されたい。 そこにいる誰もが、そう願っていた。 が、しかし。 「安全に逃げるには人質がいるな」 その窃盗団の一言で、その望みは打ち砕かれる。 恐怖に強ばる人々の顔。 自分を選ぶな、と内心でつぶやいている。 「こいつらにしよう」 「ーーっ!!」 人質に選ばれたのは、まだ小学生くらいの少年2人だった。 1人は普通の少年だが、もう1人は、女子と見間違うほどの容姿と華奢な体躯。 こいつらなら抵抗されても問題はない、そう思ったのだろう。 何故、安全に逃げる為の人質に2人も必要なのか。 甚だ疑問だが、この場にいる誰もがそれどころではない。 「マジかよ!?」 その少年らの友人達は、目を見開いた。 テレビドラマじゃあるまいしまさか、そんな思いが表情にあふれている。
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