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どうか、自分を選んでくれるな。
誰もがそう思っているのが丸分かりだ。
だが、リーダーは、そんな人達の方を指差しながら、無情にもこう告げる。
「その中から二~三人選んで連れていけ。抵抗しなさそうな奴」
その言葉に、大人達が息を飲むのが伝わってきた。
抵抗しない人、または抵抗しても敵わなそうな人といえば。
「高齢者か女、もしくは子供…」
誰かがつぶやいた言葉に、子供達は体を強ばらせる。
宗ちゃんとミッチーは体を寄せてあって怯えているし、貴司は唇まで青ざめている。
河野にいたっては、もはや言葉もない様だ。
信成は、何とも言えない気分になる。
彼自身も恐怖はあるのだが、それ以上に親友達を救いたいという気持ちの方が勝っていた。
なのに、ただジッとしているだけの自分が情けない。
彼は、親友達の手をソッと握りしめる。
今、してやれるのは、それくらいだった。
その間も、指令を受けた部下が、誰を人質にしようかと舐める様にこちらを見ている。
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