第1章

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やがて。 「やりやすいのは、やっぱりガキだよな…」 そうつぶやくと、信成達めがけて歩いてくる。 「大人は、抵抗された時が面倒だ」 そうつぶやきながら、手を伸ばしてきた。 「ひっ!」 誰かが叫び、子供達は身をすくめる。 その中で唯一、信成だけがキッと相手を睨み付けていた。 「リーダー。こいつらにしましょう」 そう報告しながら、手下が選んだのは。 「信成!河野君!」 真っ青になっている園長先生が、悲鳴に近い声を上げる。 「嫌だっ!離してぇ…!嫌だぁぁっ!」 河野は、号泣しながら大暴れしたが、体格差によって簡単に封じ込められてしまう。 「やめてよ!」 信成も怒鳴るが、あっさりと無視された。 それが見下されている様に感じて、彼の怒りに更に油を注ぐ。 孤児院の職員が、慌てて人質の身代わりを申し出るが、即却下された。 「いくぞ」 それを合図に、黒いヒヨドリは出口へと向かう。 それに伴い、信成達も引きずられていく。
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