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抵抗したところで、所詮は無駄だった。
「信成っ!河野ーっ!」
親友達は、声の限り叫ぶ。
それが館内に響き渡るが、それ以外に特に変化はない。
彼らは、がっくりと肩を落とした。
「マジかよ…」
まさか…。
こんな事になるなんて…。
今の状況が信じられない。
バスの中では、あんなに楽しく笑いあっていたのに。
黒いヒヨドリが来れば面白いかも。
そんな事は、ただの冗談だったのに。
「…僕の…せい…?」
貴司は、床に両手をつき、へたり込んでうなだれた状態で、絶望にうちひしがれながらつぶやく。
もし。
もし、自分があんな冗談さえ言わなければ。
あの自分の軽い一言が、本当に黒いヒヨドリを呼び寄せてしまったのではないか。
あの時、自分さえ黙っていれば、今も皆と楽しく過ごしていたかもしれない?
そう考えると、後悔してもしきれない。
その言葉に、ミッチーと宗ちゃんは、慌てて首を左右に振った。
そして、貴司の背中を優しくなでながら、必死に否定する。
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