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「そんな事ないって!絶対!偶然だよ!」
「そうだよ!悪いのは、黒いヒヨドリなんだから、貴司が自分を責める事ないって!」
口々にそう告げる二人の体は、いまだにガタガタと小刻みに震えていた。
まだ恐怖がぬぐいされないのだ。
そんな三人を包み込む様に、園長先生が優しく抱きしめる。
「大丈夫。大丈夫。さっき警察が来たって言ってたでしょう。絶対に助かるわ。すぐに解放されるから」
そう言いながら、赤ちゃんをあやす様に背中を軽くポンポンと叩いてくれた。
だが、声が若干震えている事から、彼女もいまだに衝撃から解放されてない事が分かる。
多分、彼女の言葉には、自分に言い聞かせる意味合いも込められているのだろう。
きっと、今、彼女の心の中は、大切な子達を守れなかった悔しさと罪悪感で溢れ返っているに違いない。
「本当に平気だよね?ちゃんと帰ってくるよね?」
三人は、そんな彼女にすがる様に尋ねた。
まるで、心の支えになる言葉を求めているかの様に。
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