第1章

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一方、人質として連れ去られた二人はといえば。 「離せよっ!触るな!」 大声を出しながら、暴れ続ける信成。 対照的に、体を縮こまらせてブルブルと怯えているだけの河野。 信成引きずる様にして引っ張っている黒いヒヨドリのメンバーは、苛立った様にチッと舌打ちした。 「ガキってのは、どうしてこう面倒くせぇんだろうな」 子供嫌いなのか、何故人質が大人では駄目なのかと思ってるのが丸わかりである。 信成は、自分達も望んで連れて来られたのではないとばかりに、自分を物の様に扱う彼を更にきつく睨み付けた。 「だったら、さっさと解放してよっ!」 そう怒鳴る。 それが怒りを煽ったのか、信成を連れてたメンバーは、思いきり信成を放り飛ばした。 ドサッ。 大きな音がして、数メートル先の床に信成の体が転がる。 「信成!」 河野が引きつった声を上げた。 ただ投げられただけなのに、まるで、拳銃で撃たれたかの様だ。
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