第1章

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そんな彼を安心させる様に、信成は、努めて冷静な声を出す。 「大丈夫だ。これくらい、何ともない」 起き上がり、河野に優しく笑いかけた。 今の自分に出来るのは、これくらいだ。 そんな一連の行動を見ていた黒いヒヨドリのリーダーは、ため息を吐きながら手下を叱りつける。 「警察が来てるというのに、何をしている。捕まりたいのか!」 「いえ…。申し訳ありません」 手下は、素直に頭を下げて謝る。 「気に入らねぇんですよ。この生意気なガキ」 だが、リーダーは取り合わない。 「何をするにしても、逃げ切ってからにしろ」 そう切り捨てると、警察の存在を知らせた別の手下に向かって少し焦った様に尋ねた。 「警察の動きはどうだ?」 すると、手下は、口角を吊り上げながら、「問題ありません」と告げる。 「我々がすでに館内から脱出してる事には、まだ気付かれてない様です」 そして、足早に皆より先へ進むと、左右を確かめる様にキョロキョロと首を横へ動かした。
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