第1章

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つい舌打ちしたくなるが、した場合は撃たれる可能性が高くなってしまうだろう。 信成は、人知れずに小さくため息を吐いた。 「特に、僕はムカつかれてるみたいだし…」 誰にも聞こえない様な小さな声でつぶやく。 と、その時だった。 「警察は?」 リーダーが突如口を開く。 その言葉に、最後尾の席に座っていた手下が後ろを振り返りながら答えた。 「付いてきてません。逃げきれたみたいです」 「だったら、人質をどちらか1人解放してやれ」 とリーダー。 一同は、目を見開く。 意外な展開に、信成と河野は、一筋の光が射した気がした。 手下達は、一瞬動揺した様だが、すぐに無言でうなずく。 やがて、人気がない道の路肩に車を止めた。 「お前が出ろ。解放してやる」 信成に拳銃を突き付けていた手下が、信成の背中をドンッと押して、車から乱暴に降ろす。 「お前は生意気だからな。ちょうどいい。ここでさようならだ」
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