第2章

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拉致されたまま行方不明になっていた信成の近況が、意外な形で判明したのは、事件から7年も経った秋の事であった。 風が冷たくなってきたその日の夕方、河野達親友4人は、商店街の広場に置いてあるTVを見て愕然としていた。 流れていたのは、黒いヒヨドリが大手宝石店に侵入して、洗いざらい盗んでいったというニュース。 数人のメンバーの顔が防犯カメラに映っていたらしく、証拠映像が公開されている。 それと共に、TV画面の下の方には「見かけた方は通報して下さい」という文章と共に、警察署の電話番号が記載されていた。 「あ、あ…」 四人は、目を見開いたままで、信じられないという表情を浮かべている。 口から出るのは、意味のない言葉ばかり。 それもそのはず。 なぜならば、黒いヒヨドリのメンバーとして手配されていたのは。 「…の、信成……」 19歳に成長した親友の姿だったのだ。
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