第2章

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しかし、それを気にしてる余裕はない。 信成の事は、自分達が1番よく知っている。 彼は、自分達の親友。 気が合う仲間。 正義感が強くて頼りになる友達。 ……のはずだったのに。 信じたくはないが、現実を目の前に突き付けられる。 TV画面の中の信成は、無表情で淡々と任務をこなしていた。 そこに、躊躇いや恐怖、罪悪感等は感じられない。 今、見ている彼は、7年に離ればなれになってしまった子と本当に同一人物なのだろうか。 心が「違うのではないか」と訴えかけるが、残念ながら4人は、この窃盗団のメンバーが自分達の親友だという事を確信していた。 あの事件の日まで、彼らは、毎日ずっと一緒にいたのだ。 万が一にも、見間違えるはずもない。 「信…成……」 河野が小刻みに震えながら、消え入る様な声でつぶやく。 実家の肉屋を継いだ彼は、エプロンに白い帽子という店主の格好をしていたが、以前にも増して女性に間違われる外見に成長していた為、女性が男装している様にしか見えない。
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